これからパソコンの購入をしている人のなかで、パソコンでゲームを楽しみたい人、動画編集やグラフィック作成をしたい人は特に、グラフィックボードは重要なパーツとなります。
グラフィックボードの役割や種類を把握しておくことで、アップグレードや新たなパソコンを購入する際に役立ちます。
そこでこの記事では、グラフィックボードについての基礎知識から、ゲームを快適にプレイできるおすすめの製品も紹介します。
本記事で分かること
- グラフィックボードの価格
- グラフィックボードの概要
- グラフィックボードの選び方
- おすすめのグラフィックボード
グラボの価格高騰はいつまで続く?
グラフィックボードは、半導体の供給量が減少したことによって、ここ数年間は価格が高騰していました。
ただ、2022年9月から仮想通貨のシステムが変更されたことによって、マイニング時にグラフィックボードが不当となり、半導体不足が解消されました。
現在はグラフィックボードを適正価格で購入できるようになりましたが、今後の半導体の生産状況によっては再び価格が高騰する可能性があります。
グラフィックボードの基礎知識
まずは、そもそもグラフィックボードとはどういうパーツなのか、その役割を把握しましょう。
グラフィックボードには製品ごとにグレードがあり、高いものほど、その性能も高くなります。役割を知り、用途に最適なグレードのものを選択できるようになりましょう。
グラフィックボードの役割
グラフィックボード(以下略「グラボ」)とは主に映像の出力機能を担うパーツです。
近年では4Kなど高解像度の映像作品や、現実と見分けがつかないリアルな3Dゲームが増えてきました。これらを最大限楽しむためにもグラボはパソコンに必要不可欠なパーツの1つです。
また、グラボの性能はフレームレートにも影響しており、高性能になるほどフレームレートは上がり、処理の重たい3Dゲームも144fps〜240fpsで遊ぶことが可能になります。
グラフィックボードの確認方法
パソコンの買い替え、アップグレードを考えている人は、今利用しているパソコンが搭載しているグラフィックボードの種類、製品を確認することができます。
確認手順は以下の通りです。
- 手順1. 「デスクトップ」ウィンドウ下部の「ここに入力して検索」のフォームに「dxdiag」と入力して検索(※Windows 10の場合)
- 手順2. 表示された診断ツールの「ディスプレイ」タブをクリック
- 「デバイス」の項目で、現在のパソコンで搭載しているグラフィックボードの情報が確認できます。
グラフィックボードの種類・メーカー
グラフィックボードには、各社メーカーのものが様々と存在します。
グラフィックボードの種類
- NVIDIA製
- AMD製
ここでは、現行発売されているパソコンの多くで搭載している、大手メーカーの「NVIDIA」と「AMD」製のものを紹介します。
NVIDIA (エヌビディア)
NVIDIAは、GPUブランドであるGeForceやQuadroシリーズで有名な米国の社名です。
特徴は3D処理が得意な点です。ゲーム制作もこのGPUを基に開発されていることが多いので、Radeonに比べて不具合なども少ない傾向にあるようです。
また、動画編集など映像に関してはRadeonに比べて評価が低かったが近年では、こちらも引けをとらないくらいの性能に進化しています。
特にGeForceのRTXシリーズはリアルタイムレイトレーシング技術が導入され、GTXシリーズより緻密な3D描画を可能にしました。
AMD (エーエムディー)
GPUのRADEONシリーズを展開している社名です。特徴は動画編集や映像処理が得意な点です。
また、価格がGeForceと比べてやや安いのも特徴です。
近年の製品はリアルタイムレイトレーシング技術が導入されているので、3D性能も向上しています。
グラフィックボードの選び方
ここでは、用途に最適なグラフィックボードを選ぶために意識すべきことを解説します。
グラフィックボードの選び方
- 使用目的によって選ぶ
- プレイするゲームの推奨スペックを確認する
- モニターのスペックを確認する
まずはパソコンをどんな用途で使うのか、その用途にはどれくらいのスペックが求められるのかを把握するようにしましょう。
使用目的によって選ぶ
前述した通り、グラフィックボードには様々なメーカーのものがあり、それぞれに多少なりとも特性があります。
NVIDAやAMD製を代表的に言えば、例えば一般的に認知されている、下記のような両者の得意な分野で選ぶことをおすすめします。
- PCゲームをメインとする場合→NVIDIA Geforceシリーズ
- 動画編集や画像編集などの作業をメインとする場合→AMD Radeonシリーズ
ちなみに、ハイエンドクラスのRTX3080やRadeon RX6800以上であればどちらを選んでも動画編集・ゲームはといった用途を問わず問題ないでしょう。
プレイするゲームの推奨スペックを確認する
NVIDIA GeforceシリーズやAMD Radeonシリーズにもグレードがあり、高いグレードほど、性能も高い分、価格も高くなります。
そのため、用途に見合った性能から選ぶことをおすすめします。
例えば、ゲームを楽しみたいといった場合に、そのゲームの推奨スペックを参考にすると良いでしょう。
無料オンラインFPSゲーム「Apex Legends」の場合、必要動作環境と推奨動作環境が公式サイトに記載されています。
推奨動作環境としては、「NVDIA GeForce GTX 970」で60fpsですが、よりヌルヌルとしたfps環境でプレイしたい場合は、それ以上の高いグレードのGPUを採用する必要があります。
自分がどれくらいの環境下でプレイしたいのかと、その場合での価格感を相談しつつ選択しましょう。
モニターのスペックを確認する
どれだけfpsフレームレートが高く表示できるスペックを搭載したパソコン、グラフィックボードを利用していても、それを再現できるモニターがなければ生かしきれません。
例えばプレイしたいゲームを240hz以上のフレームレートで表現できるスペックのパソコンを利用していても、上限144hzまで対応のモニターの場合は、144hzまでしか体感できません。
その場合は、144hz程度を表現できるスペックで十分になりますし、それ以上の環境を求める場合は、パソコンやグラボと合わせて、モニターのアップグレード、買い替えも検討してみましょう。
グラフィックボードの性能比較・GPUの目安は?
では、グラフィックボードにはどれくらいのグレード分けがあり、それぞれでどの程度の性能差があるのかを比較します。
今回はNVIDIA社のGeForceシリーズを参考に解説します。
型番 | ビデオメモリ | 性能目安 |
---|---|---|
RTX 4090 | 24GB | 5350 |
RTX 4080 | 16GB | 4779 |
RX 7900 XTX | 24GB | 4314 |
RTX 3090 Ti | 24GB | 4111 |
RX 7090 XT | 20GB | 3877 |
RX 6950XT | 16GB | 3823 |
RTX 3090 | 24GB | 3653 |
RX 6900XT | 16GB | 3613 |
RTX 3080 Ti | 12GB | 3600 |
RTX 3080 | 10GB | 3323 |
RX 6800XT | 16GB | 3231 |
RTX 3070 Ti | 8GB | 3023 |
RTX 3070 | 8GB | 2972 |
RX 6800 | 16GB | 2829 |
RX 6750 XT | 12GB | 2746 |
RTX 3060 Ti | 8GB | 2688 |
RX 6700 XT | 12GB | 2526 |
RTX 3060 | 12GB | 2322 |
RX 6650 XT | 8GB | 2246 |
RX 6600 XT | 8GB | 2184 |
RX 6600 | 8GB | 1769 |
RTX 3050 | 8GB | 1753 |
GTX 1660 SUPER | 6GB | 1741 |
GTX 1660 | 6GB | 1584 |
RX 6500 XT | 4GB | 1285 |
GTX 1650 | 4GB | 1059 |
RX 6400 | 4GB | 902 |
GTX 1630 | 4GB | 625 |
GT 1030 | 2GB | 357 |
参照:ドスパラ公式
※数値はドスパラが独自に参考値として掲載したものです。(2023年7月現在)
おすすめは、コストパフォーマンスに優れた「RTX 3060 Ti」「RTX 3070」「RX 6600」です。
「RTX 3060 Ti」はある程度のゲームで144hz〜240hzを安定して表示することが可能です。
なお、配信をしながらもパフォーマンスを落としたくない、プロレベルの環境でプレイしたい方にはRTX 3080以上を検討してみると良いでしょう。
ただし注意点として、あくまでグラフィックボードの性能は、CPUに依存します。
どれだけ高性能なGPUを搭載していても、低性能なCPUを搭載している場合はその性能の高さを発揮しきることができません。
大体のBTOショップやPCメーカーで販売されているモデルは、丁度よく各パーツの性能が生かされる構成にて販売されているので、価格と相談しつつ、ぜひこの比較表のデータをパソコン選びの参考にしてみて下さい。
【コスパ重視】おすすめのグラフィックボード
十分なスペックがありつつ、10万円以下のコスパがよいおすすめのグラフィックボードは、以下のとおりです。
【コスパ重視】おすすめのグラフィックボード
- RTX 3070(79,980円~)
- RTX 3060 Ti(49,980円~)
RTX3070やRTX3060Tiであれば、フルHDでも十分にゲームを楽しめるミドルクラスのGPUです。
RTX 3070
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 5,888 |
GPU メモリ | 8GB |
TDP | 220W |
補助電源 | 8pin |
価格 | 79,980円~ |
※価格は税込み
※2023年7月時点の価格
RTX 3070はレイトレーシングに対応しているハイエンドクラスのグラフィックボードであり、8万円ほどの価格で購入できます。
スペックは前世代のグラフィックボードのなかで最高性能であるRTX 280 Tiと同等であるにもかかわらず、価格が抑えられています。
フルHD環境では快適にゲームをプレイでき、オンラインゲームのFPSは問題なく楽しめます。
RTX 3060 Ti
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 4,864 |
GPU メモリ | 8GB6 |
TDP | 200W |
補助電源 | 8pin |
価格 | 49,980円~ |
※価格は税込み
※2023年7月時点の価格
NVIDIAが提供しているRTX 3060 Tiは、レイトレーシングに対応しているコスパの良いグラフィックボードです。
ApexやフォートナイトといったオンラインゲームのFPS・TPSを200fps以上でプレイできます。
またスムーズな動画の編集や書き出し、レンダリングが可能であり、クリエイター向けのグラフィックボードでもあります。
【高画質・高価格】おすすめのグラフィックボード
4Kモニターや高画質(3,440×1,440)のウルトラワイドモニターを利用したい方は、以下のGPUがおすすめです。
【高画質】おすすめのグラフィックボード
- RTX 4090(298,000円~)
- RTX 4080(219,800円~)
最もハイスペックなゲーミングPCを組みたい方には、RTX4090がおすすめです。
RTX 4090
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 16,384 |
GPU メモリ | 24GB |
TDP | 450W |
補助電源 | 16pin |
価格 | 298,000円~ |
※価格は税込み
※2023年7月時点の価格
RTX 4090は、前世代のRTX 3090から大幅にスペックが上がってるグラフィックボードです。
データ量の多い重いゲームでも高いfpsで快適にプレイできます。
3Dレンダリングや4K動画の編集といった作業を素早く行えるハイエンドモデルのため、クリエイター向けの商品です。
RTX 4080
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 9,278 |
GPU メモリ | 16GB |
TDP | 320W |
補助電源 | 16pin |
価格 | 219,800円~ |
※価格は税込み
※2023年7月時点の価格
RTX 4080は新アーキテクチャの進化によって、前モデルのRTX 3080 Tiよりも処理能力や動作クロックが大幅に増加しています。
レイトレーシング性能が高く、オンラインゲームを高画質で楽しめます。
オンラインゲームを本気でプレイしたい人や、クリエイティブな仕事をすばやくこなしたい人向けのグラフィックボードです。
【低価格】おすすめのグラフィックボード
4万円ほどで購入できる低価格のグラフィックボードは、以下のとおりです。
【低価格】おすすめのグラフィックボード
- RTX 3050(39,800円~)
- RX 6600 XT(44,800円~)
フルHDであればさまざまなゲームができ、低画質であれば144fpsでできるゲームもあります。
RTX 3050
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 2,560 |
GPU メモリ | 8GB |
TDP | 130W |
補助電源 | 8pin |
価格 | 39,800円~ |
※価格は税込み
※2023年8月時点の価格
RTX 3050はエントリークラスのグラフィックボードであり、初心者におすすめのモデルです。
従来モデルのGTX 1660 SUPERよりも性能が上がっており、レイトレーシングを気軽に利用できます。
GPUメモリ容量は8GBであり、エントリークラスのなかでスペックが高い点も特徴です。
RX 6600 XT
項目 | 特徴 |
---|---|
コア数 | 2,048 |
GPU メモリ | 8GB |
TDP | 160W |
補助電源 | 8pin |
価格 | 44,800円~ |
※価格は税込み
※2023年8月時点の価格
RX 6600 XTはRX 6000シリーズの中でもっとも安価なグラフィックボードであり、初心者におすすめです。
前モデルのRX 5700 XTよりもゲーミング性能が上昇している点が特徴です。
低画質であれば4Kでもオンラインゲームを楽しめるため、低価格でオンラインゲームを楽しみたい人におすすめと言えます。
グラフィックボードのおすすめに関するよくある質問
グラフィックボードのおすすめに関するよくある質問について、回答します。
RTX3060とRTX3060Tiの違いは何?
A.シェーダー数やメモリバス幅などの全体的なスペックは、RTX3060Tiが上です。
ただ、VRAM容量は、RTX3060が12GBで、RTX3060Tiが8GBです。
GTXとRTXはどちらがいい?
A.RTXはGTXよりも最新シリーズであり、グラフィックボードを買うなら「RTX」がおすすめです。
予算を抑えたい方には「GTX」のモデルの購入をおすすめします。
RTX3070とRTX3070Tiの違いは何?
A.RTX 3070TiはRTX3070に比べて、PassMarkスコアで5%ほど処理能力が優れています。
重要級のゲームを安定してゲームしたい場合には、RTX3070Tiがおすすめです。
RTX3060TiかRTX3070Tiはどちらがおすすめ?
A.重量級のゲームをプレイしたい場合には、RTX3070Tiがおすすめです。
RTX3070TiはRTX3060TiよりもGPUスコアが18%ほど優れています。
グラフィックボードを長持ちさせるにはどうすればいい?
A.グラフィックボードを長持ちさせるには、グラフィックボードの温度を下げることが大切です。
GPUのコンデンサーの温度を10度下げると、寿命が伸びます。
まとめ:おすすめのグラフィックボード
グラフィックボードは、どれだけ綺麗に映像が描写できるか、残像の少ない高いフレームレートを再現できるかという点において、重要なパーツとなります。
メーカーごとに、種類が豊富で、それぞれによって価格も異なってきます。
役割や種類を知り、自分の用途に最適なシリーズを見極め、アップグレードや新たなパソコンを購入する際の参考にしてみて下さい。